コンプライアンス・リスクマネジメント
コンプライアンス・リスクマネジメントの基本的な考え方
当社グループは、「コンプライアンスは行動の最上位にある」を掲げ、従業員一人一人のコンプライアンス意識の醸成や継続的な向上に努めています。すべての従業員が、法令遵守はもとより、ステークホルダーの期待や要望に応える行動を実践することで、「事業の発展と社会の利益との調和」を図っています。また、会社の資産を保全することがすべてのステークホルダーの期待に応えることであると考え、実効性のあるリスク管理体制の構築・整備・運用に努めています。
コンプライアンス・リスクマネジメント
2020年4月より、執行部門や監督部門が各々の役割を果たし、綿密に連携する3ラインディフェンスの体制を構築しています。
コンプライアンス・リスクマネジメントを企業活動の基盤とし、グループ一体経営を実践しながら、持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。
3ラインディフェンスによる重層的な体制
企業倫理綱領の制定
当社では、従業員一人一人が主体的かつ自主的に実践すべき基本となる行動規範を明らかにするため、「スズケン企業倫理綱領」および「企業倫理綱領細則」を制定しています。
コンプライアンス研修の実施と従業員の宣誓
コンプライアンス浸透に向けた活動として、毎年度、グループの役員・執行役員・参事・理事・従業員を対象に、e-ラーニングなどによるコンプライアンス研修を行っています。研修後、「コンプライアンスが行動の最上位にあることを常に意識し、違反に当たる行為は一切しない」と一人一人が宣誓しています。また、コンプライアンスに関する職場ディスカッションも実施しています。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制の強化
リスクマネジメント体制をさらに確固たるものにするため、取締役会の下部機構として、「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、スズケングループ全体におけるリスク管理を行っています。
当グループのリスクマネジメントを効果的、効率的に行うために、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会の下部機構として3つの実務委員会と1つの専⾨委員会を設置しています。
(株)スズケンと各グループ会社が参画する事業セグメントごとにリスクマネジメント・コンプライアンス全般の実務を担う実務委員会、また、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」に沿った適切な販売情報提供活動を製販一体となって行っていくために、販売情報提供活動審査・監督実務委員会、さらに独占禁⽌法の遵守が当社卸グループセグメントのガバナンスにおける最重要項⽬の⼀つであるという観点から、独占禁⽌法遵守専⾨委員会を設置しています。
委員会では、各事業の特性に合わせたリスクの洗い出しを行い、グループで共有して重点的に取り組むリスクを設定し、リスクの未然防止と低減、コンプライアンス施策の推進を主としたマネジメントの強化を図っています。
リスクマネジメント・コンプライアンス体制図
独占禁止法遵守に向けた取り組み
当社は、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の入札に関する独占禁止法違反容疑について、2021年6月に東京地方裁判所から同法違反による罰金支払いの判決を受け、また、2022年3月に公正取引委員会から排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。
また、当社の子会社である株式会社翔薬は、2021年11月に独立行政法人国立病院機構(NHO)の入札において独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。
当社としましては、翔薬と共に、このたびの事態を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力しています。グループをあげて再発防止に向けたコンプライアンス遵守徹底に取り組み、二度とこのような事態を起こさないことで、信頼の回復に尽力していきます。
(1)コンプライアンス遵守の徹底
- 同業他社との接触ルールの厳格化
- 独占禁止法の正しい理解の徹底
- 自己宣誓書の取得
(2)コンプライアンス遵守の徹底に向けた組織変更
- 「コンプライアンス部」「内部監査室」の設置
- 薬事・内部統制・監査担当役員の設置
- 「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」の設置
- 「独占禁止法遵守専門委員会」の設置
(3)独占禁止法遵守専用相談窓口の設置
(4)社内リニエンシーの導入
(5)独占禁止法遵守等のコンプライアンス研修の実施
内部通報制度の導入
法令などを誠実に遵守する体制を補完するものとして、内部通報制度「企業倫理ホットライン」を設置しています。法令・定款違反行為、その他当社グループのブランドを傷つける行為が行われた、または行われようとしていることを従業員などが知ったときは「企業倫理ホットライン」へ通報することを義務付けています。当制度を運用することで、早期にリスクを察知し、速やかに是正措置を講じています。
薬事関連法令、医薬品情報提供に関する取り組み
薬事関連法令や医薬品情報提供に関して管理・監督を行う社長直轄組織の「薬事統轄室」を設置し、支店などの管理薬剤師を中心に医薬品医療機器等法、販売情報提供活動ガイドラインなどの遵守およびGDPガイドライン対応など品質向上に取り組んでいます。またグループ会社との連携により、コンプライアンス体制強化を図っています。
贈収賄・不正行為防止への取り組み
企業倫理綱領細則において、「公平・公正かつ透明な取引と対等な関係づくり」および「関連法規の遵守」を行動規範として定め、贈収賄・不正行為防止に取り組んでいます。役員・執行役員・参事・理事・従業員へのコンプライアンス浸透に向けたコンプライアンス研修を行うとともに、海外における贈収賄防止法に関する学習を定期的に行っています。
反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方・体制
当社は、「企業は社会の公器であること」の認識および「高い倫理観」の上に立ち、積極的に社会的責任を果たしていくとともに、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体には毅然とした態度で臨みます。
重要な行動指針である「企業倫理綱領」および「企業倫理綱領細則」にて、反社会的勢力・団体からの不当・不法な要求などに対する姿勢および具体的対策を明文化し、社内コミュニケーションシステムなどを通じた教育・研修により、すべての役員、執行役員、参事、理事および従業員への周知徹底に努めています。
また、外部専門機関などとの緊密な連携体制を整え、子会社のリスク管理責任者を含め、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会にて、外部専門機関などから入手した反社会的勢力に関する情報を共有し、注意喚起を図ります。反社会的勢力が取引先や株主となり、不当・不正な要求をする被害を未然に防ぐよう、適正な企業調査の実施および外部専門機関などからの素早い情報収集に努めます。
情報セキュリティの強化
企業活動において、収集・蓄積・伝達・提供される情報は極めて重要な資産です。当社グループでは情報資産を適切に保護し、リスクに対応するため、「情報セキュリティポリシー」を定めています。また、情報システムおよびネットワークの適切な運用管理、開発、利用に関する情報セキュリティ対策を体系的に定めるとともに、定期的な教育によって社員の意識向上に努めています。情報セキュリティ組織は、コンプライアンス部を中心に、取締役会、情報セキュリティ責任者、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会などから構成され、情報資産を誤用または悪用から保護するとともに、損失を最小限にするため、サイバーセキュリティを含む情報セキュリティの強化を図っています。
デジタル化やAIの進展によって情報セキュリティへのリスクが高まる中、デジタル化に対応した新たなビジネスモデル構築を進めるうえでも、時代の変化に応じて「情報セキュリティポリシー」の見直しや体制強化を図り、グループ全体のセキュリティレベルの向上に取り組んでいきます。