ヘルスケア製品開発事業
患者さまの生活の質向上やアンメット・メディカルニーズに貢献する医療用医薬品、診断薬、医療機器・材料の研究開発・製造・販売を行っています。
機会とリスク
機会
- 高齢化などによる疾病構造の変化
- アンメット・メディカルニーズへの対応
- 製薬企業のアウトソーシングニーズ拡大
- 多様なベンチャー企業や新しい受託業の増加
- 地域包括ケアシステム構築の推進
- 医療・ヘルスケア分野におけるデジタル化の進展
- 在宅医療・介護ニーズの多様化
- デジタル化の進展
リスク
- 医療費の増大に伴う薬価制度改革
- グローバル化の進展
- 異業種の参入による競争の激化
- 販売情報提供活動ガイドラインへの対応
- 研究開発活動による環境汚染
- 日本国内におけるドラッグロス・ドラッグラグ
スズケングループの強み
糖尿病、腎・透析領域におけるプレゼンス
- 医薬品および診断薬・診断機器の開発・製造力
効率的かつ高品質な生産技術
- 高品質な製品を安定供給するサプライチェーンマネジメント体制
- 国際的なGMP基準に対応した高度な生産体制
- 大手製薬企業の受託生産実績
- 独自の製剤技術を活用したOSDrC事業
- 医療機器における品質マネジメントシステム「ISO13485」認証の取得
- 医療機器におけるOEM事業の豊富な実績
製薬企業の製品上市の総合支援体制
- 製薬企業や医療周辺事業を展開する多様な企業とのパートナーシップ
- 海外製薬企業などとのネットワーク
ヘルスケア製品開発事業における拠点(2024年3月31日現在)
- 医薬品製造工場(熊本)
- 医薬品研究所(三重)
- 医療機器製造工場(群馬)
主な取り組み
医薬品製造事業
糖尿病、腎・透析領域におけるプレゼンス向上
糖尿病領域を中心に生活習慣病の改善に寄与する医薬品、付加価値の高いジェネリック医薬品、国内トップシェアの血糖自己測定器や診断薬の開発・製造・販売を行っています。大手医薬品メーカーの受託生産も行っており、三和化学研究所独自の製剤技術が国内外から高い評価を得ています。
医療用医薬品製造
患者さまのQOLや経済的な面を真剣に考え、使いやすく、より安全かつ有効な“くすり”を開発しています。
診断薬製造
病院・医院における超音波検査や心電図検査、血液や尿などの検体を用いた検査に、必要不可欠な高品質の診断薬・診断用機器を製造しています。
医薬品生産受託
株式会社三和化学研究所の熊本工場では、自社医薬品の製造だけでなく、大手医薬品メーカーの受託生産も行っています。
さらなる開発パイプライン拡充に向けた投資
製薬企業として持続的に成長するには新薬開発が不可欠であり、糖尿病と腎・透析関連領域を中心に、まだ多くのアンメット・メディカル・ニーズが残されている領域を新たな成長市場と捉え、当領域の新薬開発に注力し、開発パイプラインを充実させています。
2021年8月には、二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「ウパシタ静注透析用シリンジ」を発売し、キッセイ薬品工業株式会社とのコ・プロモーションを通じて市場浸透に努めています。また、2022年2月には、Crinetics Pharmaceuticals, Inc.(クリネティクス社)※1との間で、Paltusotine(パルツソチン:仮称)※2の日本における独占的開発・商業化に関するライセンス契約を締結し、今後開発を進めていきます。
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※1Crinetics Pharmaceuticals, Inc. (クリネティクス社):希少な内分泌疾患および内分泌関連腫瘍を対象とした新規治療薬の発見、開発、商業化に焦点を当てた臨床ステージの製薬企業
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※2Paltusotine(パルツソチン:仮称):ソマトスタチン受容体2型(SST2)に対する高い選択性を持ち、成長ホルモンの分泌を抑制する経口投与可能な非ペプチド性の作動薬
グループ機能の融合や協業による新規ビジネスの創出
三和化学研究所のサプライチェーン全体を見直し、構造改革を進めています。2022年9月には、今後の新薬開発の方向性やグローバル化が進む業界環境などを総合的に勘案し、医薬品製造拠点「FUKUSHIMA工園」を、世界多数の国々でGMP認証を取得する武州製薬株式会社に事業譲渡しました。今後は高い技術と生産オペレーションなどを両社で活用していきます。
スズケングループの医薬品製造事業として培ってきた「高品質」「安定供給」「低コスト」といった強みを生かし、当社グループが持つ他の機能との融合や協業企業との連携により、新たなビジネスモデルの創出を目指すとともに、生産性の向上にも貢献していきます。
主力製品である糖尿病治療剤の拡大に加え、自己血糖測定器において、患者さまのさらなる糖尿病ケアに貢献するため、2024年1月にアボットジャパンとのコ・プロモーション契約を締結しました。
2024年5月には、武州製薬およびEPSホールディングスとの協業により、日本のドラッグロス解消に貢献する新たなビジネスモデルを構築し、スペシャリティ医薬品の開発から製造販売承認申請、製造、販売、物流などに至るまで、海外製薬企業の日本市場参入をワンストップで支援可能となりました。このビジネスモデルは、日本で上市するために必要な開発費用などは上市後に回収する成功報酬型であり、製薬企業はリスクを取ることなく参入が可能です。日本独自の規制への対応や日本に製造工場や物流センター、流通ネットワークを保持していないといった課題を解消し、参入企業を増加させることで、日本における治療の選択肢拡大に貢献していきます。
医療機器製造事業
「患者さまにやさしい」を追求した製品を開発し、グローバルに展開
スズケングループが開発する医療機器のオリジナルブランド「Kenz」の中心製品は、ホルター心電計、血圧計、聴診器等の検査機器です。より簡単、より正確に計測し、患者さまに負担・不安を与えない機器開発に果敢にチャレンジしており、ホルター心電計の超小型化などを実現しました。
また、医療機器を対象とする「ISO13485」の品質保証システムを構築し、グローバルな品質要求に対応しています。Kenz製品はアジア圏を中心に世界30カ国以上の医療現場で使用され、世界中の医療機関から高い評価をいただいています。
医療機器・材料製造分野の拡大と競争力強化
ケンツメディコ株式会社では、医療機器・材料ブランド「Kenz(ケンツ)」と共に、グループ販売力を生かし、聴診器や医家向け血圧計を中心とした医療機器を開発・製造しています。2022年2月には、単回使用防水ホルター心電計と心電図データ解析サービスを一つにした検査キット「Simple Holter」の薬機認証・保険適用を取得。検査経験がない医療機関でも身近に利用できるサービスです。
患者さまとの接点を生かした新たな製品・サービスの開発
当社グループでは、医薬品製造の株式会社三和化学研究所と医療機器製造のケンツメディコ株式会社がヘルスケア製品開発領域を担っています。今後は、各社の領域で進めている製品開発に加え、協業企業の機能を組み合わせ、日本に新規参入する企業のスペシャリティ製品の上市支援や、グループ間シナジーを生かした独自性の高い医薬品・医療機器商材などの新たなサービスの開発を推し進めるとともに、早期診断や介護・終末期医療など新たな領域における製品・サービスの開発にも着手していきます。
当社グループには、患者さまやご家族、医療・介護従事者の皆さまとの直接の接点となる保険薬局や介護事業の運営を通して、その声を収集できるという強みがあります。これまでに培ってきたお得意さまや協業企業との関係性を最大限に生かし、お得意さまから得られたニーズを起点に、製品・サービスの市場調査をはじめ、企画・設計などの段階から協業企業と連携していきます。